« 紅葉狩りは釣瓶落としで一期一会 | トップページ | コメント受け付けについて »

追悼

 アイドル時代に特別にファンだったわけでもない。ミュージカルを見に行ったわけでもない。知っているのは、「ミス・サイゴン」で主役の座を射止め、アイドルから本格ミュージカル女優に転身して、高い評価を得るようになったことや、今年に入ってから闘病生活を続けていたこと、そういったワイドショー等で誰でも知っていることだけである。それでも、彼女のその生きてきた軌跡の一端に触れただけで、激しく心が揺さぶられるのはなぜだろう。全てを懸けて打ち込めることを見いだし、その場所にいるべき者として選ばれる人は、決して多くない。そのような存在でありたいと願い、夢を追い求めるものはいくらでもいる。途半ばにして自らあきらめる者、あきらめきれない夢をくすぶらせ続ける者、届きそうで届かない夢のために心がくじけそうになっている者、そういう者たちにとって、選ばれた存在は、嫉妬の対象である以上に、いつまでも輝き続けて欲しい存在であるはずである。彼女はミュージカルという世界で選ばれた存在になった。アイドルの座を投げ捨てて自分の本当に輝ける場所をつかみとったというストーリーと共に、だれもが彼女がこれからもミュージカルの世界で選ばれた存在であり続けると信じていた。このような形で神話になってもらいたくはなかった。
 以前から気になる人ではあった。ただ、ミュージカルという物自体ほとんど見たことがなかったので、彼女の闘病のニュースを聞いたときは、復帰したら是非生でその歌声に触れに行こうと思っていた。いくら映像を見ても、CDを聴いても、同じ空気を共有してその歌声を聴くことはもう叶わない。
 神というものがいるなら、それはどこまで残酷な存在なのか、こんなときはいつもそう思ってしまう。本田美奈子さん、私より若かったのですね。

|

« 紅葉狩りは釣瓶落としで一期一会 | トップページ | コメント受け付けについて »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/133198/6934979

この記事へのトラックバック一覧です: 追悼:

« 紅葉狩りは釣瓶落としで一期一会 | トップページ | コメント受け付けについて »