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カバー曲におけるリハーモナイズ

 平原綾香がユーミンの曲を歌ってるのを聴いて、気になっていたので、カバーアルバム「From To」をレンタルしてきた。彼女が出てきた当初は、この声と息遣いは心地良いけどなんかズルいっていう、へんな引っ掛かりがあったのだが、今は素直に「やっぱりいいものはいい」と受け入れている。本作はカバーということで、アレンジの問題もあり、繰り返し聴きたい曲とそうでない曲に分かれてしまったが、1曲目のユーミンの「晩夏(ひとりの季節)」とかは非常によい。彼女の丁寧な歌い方がユーミン(荒井由実)の世界とフィットしているのだろう。

 さて、その「アレンジの問題」についてだが、カバーの場合、必ず元曲のアレンジをどこまでフォローするかという問題と直面することになる。有名な曲の特徴的なイントロや間奏等が完全に曲の一部として認識されていて、カバーされた時にそこに違うパターンが来ると、違和感を覚えて醒めてしまうということはよくあるが、それはカバーである以上はある程度仕方がないだろう。(もちろん、元のパターンとどちらがオリジナルかということを度外視して比較した時、あまりにもデグレードするようなら、元のアレンジを採用してほしいとは思うが...。)また、リズムアレンジを全く別の物にするような場合は、そもそもそういう趣旨のカバーだと考えればいいだけである。ただ、いつもこれはどうしても許せないと思ってしまうのは、コード進行との組合せによって形成されているメロディーの持つストーリー性や起承転結を台なしにするような、無理なリハーモナイズ(メロディーに対して別のコード進行を当てはめること)である。もちろん、例えば単純なII→V7→Iの進行のドミナント7thを裏コードに変えて一瞬ジャジーな感じを出すとかいう程度の、コードの流れは変えないようなリハーモナイズならいいのだが、元の曲のメロディー(+コード)の流れの中で起承転結の「転」に相当するような「感情の動き」が表現されているような部分にトニック系のコードを置いて落ち着かせてしまうようなリハーモナイズをされてしまうと、ガクッときてしまう。それでは、いくらメロディーはもとのままでも、作曲者は「オレはそんな曲を書いた覚えはない」と思うだろう。元曲が完成度の高い名曲であればなおさら、このような、別の機能のコードを持ってくるようなリハーモナイズが奏効する可能性はほとんどない。もっと言えば、メロディー+コードの感情の流れに合わせて歌詞もついているはずであり、その組合せによる効果も破壊してしまうことになる。
 作曲の領域とアレンジの領域との線引きは非常にあいまいなものではあるが、その曲を口ずさんだ時には、実際にはメロディーだけではなく、頭の中ではコード進行によって色付けされたメロディーが鳴っているのであり、少なくともその色付けに相当するコード進行のキモの部分だけは、メロディーに属する部分として大切にして欲しい、と思うのである。今回のアルバムでも、いくつか「アチャー」というような部分に出くわしてしまった。

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コメント

はじめまして。
ユーミン大好きですが、綾香さんバージョンの「晩夏」にはほれぼれしてます。
『From to』も買ってしまいました。
「晩夏」以外では、「なごり雪」とか「Missing」とかかなりいいと思いました。
ただ「秋桜」だけは、百恵さんバージョンの方がいいかな・・と思いましたが。

投稿: ミモザ | 2005.11.22 14:12

》ミモザさん
「なごり雪」も「Missing」もいいですね。私も買ってしまおうかどうか只今思案中。
そういえば、(おそらく初回盤だけの)紙ジャケットの写真が、長井秀和に見えたのはナイショ。

投稿: hiro-s | 2005.11.23 02:16

実は、今日中古CDやさんへ持っていってしまいました。
「秋桜」はアレンジが楽曲の素晴らしさを台無しにしてると思いました。
それから「桜坂」は楽曲そのものが嫌いですね。どこが何がいいんだろう・・って思う。
よく考えると、『晩夏』以外の曲は大好きな曲ってないんですよ。他の曲はCDにいっしょに入ってるならしょうがないと思いますが、あの2曲は許しがたいって感じで。ちょっと持っていたくなくなりました。

投稿: ミモザ | 2005.11.26 20:01

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» From to [My Favorite]
これは平原綾香さんの3枚目のアルバムになるらしいです。 私がこの方のアルバムを買ったのは、もちろんこれが初めてです。 収録曲は、『晩夏』『言葉にできない』『いとしのエリー』『いのちの名前』『MIssing』『秋桜』『True Love』『桜坂』『なごり雪』『翼をください』『あなたに』 全体的にいい感じに歌われてます。 殆どの曲、カラオケで歌ってみたい気がしました。 『晩夏』はもちろんですが、その他で特にいいと思ったのは、『MIssing』と『なごり雪』でしょうか。いつもは、自然にさ... [続きを読む]

受信: 2005.11.26 19:55

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