« 白いテラスの午後3時 | トップページ | ログインできない »

今は自分を赦せない。

 とあるコンペの結果の報告が届いた。別の仕事がこんなに立て込んでなければ参加したはずのコンペである。そしてそこでチャンスを掴んだ人がいる。ちょっと特殊なコンペだった。うまくいけば音楽をちゃんと仕事として成立させるためのいい入り口になるような案件だといういうことは分かっていた。それでも、いや、だからこそ、今の状況では参加できなかった。
 コンペの時点で出す作品を作るだけならなんとかスケジュールをねじ込めたかもしれない。でもコンペに通ったらその後当然それを仕上げ、さらに関連する様々な曲の制作をするという流れを引き受けることになり、そのためには予備校の方の仕事を放り出さないといけなくなる。今のタイミングで突然自分が抜けて梯子を外してしまったら、どんなひどい状況になるかは自分が一番よく知っている。かといって、コンペに通ったはいいけどその後の仕事をまともにできないというのは、最悪である。

 でも、いかに自分の状況を言い募っても、音楽を志している自分と、自分のそっちの側面で接している世界から見れば、何もかも言い訳にすぎない。せっかくのチャンスを与えてやったのに、それをみすみす袖にして、他の仕事を選んだという事実が残るだけである。そしてそのことを誰も決して赦しはしない。もちろん自分自身も。

 では、別の仕事の方を全て放り出して、コンペに参加するという選択肢が本当に存在したのか。それなら自分を赦せたのか。クライアントに迷惑がかかるなどという言葉では済まされない重たいものがそこにはあるのも知っている。誰かに代わってもらうことのできない仕事をやるというのはそういうこと。そして、いくらでも代わりがいるような仕事だけやって自活できるほど、世の中は甘くない。でも。

 過去から地続きの現実に対する責任と、自分のあるべき未来に対する責任。古典的なジレンマではあるが、今回の状況はかなり重い。(背負い切れないならとっととやめちまえという声も聞こえてくる。) 結局どうすればよかったのか,答えの出ない自問自答から逃れることは今はできない。とにかく、いつか自分を赦せるようになる日が来ることを信じて、戦い続けるしかないのだけども。

|

« 白いテラスの午後3時 | トップページ | ログインできない »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/133198/8994532

この記事へのトラックバック一覧です: 今は自分を赦せない。:

« 白いテラスの午後3時 | トップページ | ログインできない »