...「日本沈没」と聞くとこれを思い出してしまう私は、日本SFの良き時代を横目で見ていた世代である。
さて、今日はなんとか天気が持ちそうだったので、錦糸町で「日本沈没」を見てきた。いやな予感はしていたが...これは決して「小松左京原作の『日本沈没』」を期待して見てはいけない。日本が沈没するというアイディアとタイトルだけを拝借した似ても似つかぬ全くの別物である。恐らく、小松左京自身も、この映画に関しては一切コメントしていないのではないかと想像される。あの重厚な小松作品を下敷きにして、どうすればこんな安っぽいセカイ系の映画が出来るのか、不思議で仕方がない。まあ、原作を忘れてお気楽に見るハリウッド映画のつもりで見れば...今度は日本映画の演出のダサさが目に付くわけで(苦笑)。
ともかく、「日本沈没」は、全く救いのない設定だからこそ意味のある話であって、沈没を途中で止めて明日への希望なんか見いだしたら、なんの意味もないのである。小松左京も草葉の陰から泣いておるよ。(...って、小松左京先生はまだ生きておられますが。)
原作を知らない人が、スペクタクル映画として楽しむ分には、そんなに悪い選択ではないので、念のため。ただ、主役の2人の演技はあまり好きじゃない。とりあえずヒロインは大地真央ということで納得しておこう。
「それ原作でも原案ですらないだろう」と言えば、テレ朝の「富豪刑事」もそうである。これも、一昨年の最初のシリーズは、まだ筒井康隆の原作のストーリーを下敷きにした部分もあり、ホリプロタレントでもある筒井御大も役者として出演したりしていたのだが、さすがに「デラックス」の方は見捨てた模様。最初のシリーズは、「あの」富豪刑事をドラマにしてしまったというインパクトと、御大の神通力により、深田恭子のさむーい演技がギャグとしてうまく昇華していたのだが、今回のは、ただただ寒いだけで、シナリオもボロボロ。あれは、御大としては「筒井康隆原作」という文字を外して欲しかっただろうなあ。
で。さっき「日本以外全部沈没」で検索してみたら、これも映画化されてもうすぐ公開らしい(笑)。このタイミングで「日本沈没」とぶつけてくるあたりのゲリラ的なやり方が、いかにもB級映画っぽくてよろしい。ただ、「日本沈没」の方が原作とかけ離れたものになっているので、肩透かしを食らった格好かもしれないが。これには、筒井御大も出演しているようである(爆)。
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