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88鍵はイイ!

 月曜日の映画の帰りに、秋葉原の楽器屋に寄って、前から懸案だった「電子ピアノ」を注文。曲を作る時等に、コードやフレーズの確認のために鍵盤を押さえることはあっても、鍵盤に対しちゃんと楽器として向かい合うということを長い間やっていなかったので、へたくそではあってもとにかく「ピアノを弾く」という行為を取り戻すことにより、もう一度「音楽」との友好関係を回復させたかったのである。
 以前1回リサーチはしていたのだが、どの機種にするかこの日もさんざん悩む。私の欲しい物のイメージに対し、どの機種も「帯に短したすきに長し」なのである。最終的には、「同じぐらいの妥協ポイントがある物の中ではリーズナブルな価格のもの」という選択となってしまった。
 電子ピアノには、大きく3通りの分類があるようだ。1つは、5万円〜10万円ぐらいの価格帯の「スタイリッシュピアノ」と呼ばれているもので、固定スタンドを取り付けて据置型としても使えるが、いわゆるシンセ等と同じようにスタンドを付けずに持ち運び可能なものとしても使えるようなものである。このタイプは、内蔵スピーカーは付いているが、スピーカー自体の音質はさほど良くはない。もう1つは、10万円〜15万円ぐらいの価格帯の一体型電子ピアノの廉価版。このタイプは、基本的には本物のピアノの代用品という位置づけなので、内蔵スピーカーからの音のリアルさを重視しており、作りも1個の家具という感じの重厚なものとなる。ただし、枠のコストがかかっているので、内蔵音源自体をヘッドホンで聴いた時の音色で比較すると、価格では5万円ぐらい下になるスタイリッシュピアノと同程度か、メーカーによってはそれより1ランク落ちる場合もある。残りのタイプは、20万円以上の本格的な電子ピアノである。
 今回比較検討の対象としたのは、スタイリッシュピアノ全機種と、10万円クラスの一体型電子ピアノ。メーカーはYAMAHA、Roland、KORG、KAWAI、CASIOの5社。
 まず、スタイリッシュピアノと一体型電子ピアノの比較において、自分としては作曲時に使いたいので、ある程度奥行きがあって、譜面を書く台としても使える物の方がありがたく、スタイリッシュピアノの売りであるスリムさが実は私にとってはマイナスポイントであった。ただし、部屋のレイアウトとして、壁に向かって置くのは現状難しそうなので、部屋の内側に向かって、背面が一枚板で覆われている一体型ピアノを置いてしまうと、かなり圧迫感がある。そういう意味では、固定スタンドであっても基本的にはフレームだけのスタイリッシュピアノでないと厳しい。そんな中、浮上したのが、スタイリッシュピアノでありながら前後の幅は結構あるKORGの製品。それだけの理由で一瞬この機種に決めかけたのだが、あらためてヘッドホンで音を聴いてみた時に、鍵盤の真ん中よりちょっと高いエリアにどうしてもキンキンと耳障りな音域が存在して、やっぱりこれはダメ。
 純粋に音色だけでみると、やはりYAMAHAが全体として一番安心できる音なのだが、YAMAHAの場合ネックなのが、スタイリッシュピアノでは5〜7万円クラス、一体型電子ピアノでは10万円クラスの機種には、ライン出力端子がついていないことである。スタイリッシュピアノの10万円クラスならライン出力端子はあるのだが、10万円と言っても、スタンドは別売なので、イスまで付けると12万円ぐらいになってしまう。一体型だと、15万円クラスでようやくライン出力端子が付く。YAMAHA以外でも、安い価格帯ではライン出力端子がないメーカーが目立つ。
 最終的に自分が選んだのは、CASIOの6万円クラスのスタイリッシュピアノ、Privia PX-310。(ちなみに、ここでの価格帯の表記は全てその店での価格。) CASIOは、最初一体型電子ピアノを弾いてみた時、他に比べかなりチープな音に感じたので、一旦候補から外していたのだが、スタイリッシュピアノの方の音は意外と悪くなかった。ちゃんとライン出力端子も付いている。それでも、最後までためらった理由の1つは、この機種が全機種の中で最もスリムで、譜面を書くための台として全く使えないこと。もちろん、譜面台はつくが、それは譜面を見るための台であって、譜面を書くための台にはならない。さらに、固定スタンドにオプションで取り付けられるペダルユニットが、これまたえらくちゃちな作りで、ペダル自体はぎしぎし言うようなプラスチック製で、フレームもガタガタしていたのも気になった。結局、このペダルユニットは付けずに、当面は付属のペダルスイッチを使い、将来的にも、単体のダンパーペダルを導入すればいいやということで妥協。譜面を書くスペースについては、部屋のレイアウト全体の中で考えようかと。
 月曜の時点では、以上のようにかなり妥協点の多い買い物だったので、モヤモヤすっきりしない上に、応対していた店員が一番私とは相性の悪いタイプのピントのずれ方をするかたで(支払い時にもいろいろトラブってくれて)、せっかく面白かった映画の印象が全部飛んでしまうぐらいイライラした状態で帰宅し、水曜の朝に納品された後も、部屋のレイアウトをどう改造して設置すればいいかがなかなかうまく決まらずに、イライラがさらに募っていたのだが、先程とりあえず固定スタンドを組み立てて、仮設置し、実際に弾いてみて、ようやく心の平安が得られた。とにかく「88鍵はイイ!」のである。パソコンに向かって曲を作る際に手元に置いているキーボードコントローラーは4オクターブ49鍵しかなく、ちょっとしたピアノ伴奏のパターンを考えるだけでも、すぐ左手の音域が足りなくなってオクターブの切り替えが必要なのだが、88鍵をいっぺんに見渡せると、必要な音域は全てカバーされるので、一気に視界が開けた気分である。それに加えて、このピアノタッチの手ごたえのある鍵盤。とりあえず、買ってよかった!

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コメント

せっかくのお誘いでしたが、購入時に立ち会えずにすみませんでした。
でも私が分かるのは、自分にとって弾きやすいタッチかどうか?
くらいなので、この記事を読んで
「ぜんぜんお役に立てなかったかも!?」と思いました(^^;
最近の電子ピアノはどこのメーカーでも性能的にはそんなに
違いは無さそうだし、以前と比べてずいぶん本物のピアノに
近づいて来ていると聞いていたのですが、結構違うんですね。
逆に勉強になりました!!

投稿: ユミコ | 2006.12.01 17:14

>ユミコさん
いえいえ、実は鍵盤のタッチに関しては、どれがいいかは私には全然わからず、結局「わからないんだったら、自分で弾く分にはいいか...」といういい加減な話になってしまいました。それに、音色に関しても、極端に耳障りだとかいう以外は、そんなに明確に善し悪しはわからないので、普段ピアノを弾き慣れているかたの意見を聴きたかったのは本当です。
でも、せっかく選ぶのを手伝って頂いて、タッチとか音色とかで「これがいい」と言っても、部屋のレイアウトがどうのとか譜面を書く台になんなきゃヤダとかウダウダ言われたらむかつきますよね(笑)。その揚げ句の結論が「やっぱ88鍵はイイ!」って、それなら別にどれだっていいじゃん(爆)。
なので、まあ今回は、一人で買いに行ってよかったかな。別にン百万のグランドピアノを買うわけでもないしね。お騒がせして失礼しました。

今はまだ、部屋の配置をどう変更するかは確定しておらず、非常に不自然な形で仮置きしてあります。じっくりレイアウト変更ができるのは、年末か年明けかなあ。

投稿: hiro-s | 2006.12.02 19:17

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