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88鍵はイイ!

 月曜日の映画の帰りに、秋葉原の楽器屋に寄って、前から懸案だった「電子ピアノ」を注文。曲を作る時等に、コードやフレーズの確認のために鍵盤を押さえることはあっても、鍵盤に対しちゃんと楽器として向かい合うということを長い間やっていなかったので、へたくそではあってもとにかく「ピアノを弾く」という行為を取り戻すことにより、もう一度「音楽」との友好関係を回復させたかったのである。
 以前1回リサーチはしていたのだが、どの機種にするかこの日もさんざん悩む。私の欲しい物のイメージに対し、どの機種も「帯に短したすきに長し」なのである。最終的には、「同じぐらいの妥協ポイントがある物の中ではリーズナブルな価格のもの」という選択となってしまった。
 電子ピアノには、大きく3通りの分類があるようだ。1つは、5万円〜10万円ぐらいの価格帯の「スタイリッシュピアノ」と呼ばれているもので、固定スタンドを取り付けて据置型としても使えるが、いわゆるシンセ等と同じようにスタンドを付けずに持ち運び可能なものとしても使えるようなものである。このタイプは、内蔵スピーカーは付いているが、スピーカー自体の音質はさほど良くはない。もう1つは、10万円〜15万円ぐらいの価格帯の一体型電子ピアノの廉価版。このタイプは、基本的には本物のピアノの代用品という位置づけなので、内蔵スピーカーからの音のリアルさを重視しており、作りも1個の家具という感じの重厚なものとなる。ただし、枠のコストがかかっているので、内蔵音源自体をヘッドホンで聴いた時の音色で比較すると、価格では5万円ぐらい下になるスタイリッシュピアノと同程度か、メーカーによってはそれより1ランク落ちる場合もある。残りのタイプは、20万円以上の本格的な電子ピアノである。
 今回比較検討の対象としたのは、スタイリッシュピアノ全機種と、10万円クラスの一体型電子ピアノ。メーカーはYAMAHA、Roland、KORG、KAWAI、CASIOの5社。
 まず、スタイリッシュピアノと一体型電子ピアノの比較において、自分としては作曲時に使いたいので、ある程度奥行きがあって、譜面を書く台としても使える物の方がありがたく、スタイリッシュピアノの売りであるスリムさが実は私にとってはマイナスポイントであった。ただし、部屋のレイアウトとして、壁に向かって置くのは現状難しそうなので、部屋の内側に向かって、背面が一枚板で覆われている一体型ピアノを置いてしまうと、かなり圧迫感がある。そういう意味では、固定スタンドであっても基本的にはフレームだけのスタイリッシュピアノでないと厳しい。そんな中、浮上したのが、スタイリッシュピアノでありながら前後の幅は結構あるKORGの製品。それだけの理由で一瞬この機種に決めかけたのだが、あらためてヘッドホンで音を聴いてみた時に、鍵盤の真ん中よりちょっと高いエリアにどうしてもキンキンと耳障りな音域が存在して、やっぱりこれはダメ。
 純粋に音色だけでみると、やはりYAMAHAが全体として一番安心できる音なのだが、YAMAHAの場合ネックなのが、スタイリッシュピアノでは5〜7万円クラス、一体型電子ピアノでは10万円クラスの機種には、ライン出力端子がついていないことである。スタイリッシュピアノの10万円クラスならライン出力端子はあるのだが、10万円と言っても、スタンドは別売なので、イスまで付けると12万円ぐらいになってしまう。一体型だと、15万円クラスでようやくライン出力端子が付く。YAMAHA以外でも、安い価格帯ではライン出力端子がないメーカーが目立つ。
 最終的に自分が選んだのは、CASIOの6万円クラスのスタイリッシュピアノ、Privia PX-310。(ちなみに、ここでの価格帯の表記は全てその店での価格。) CASIOは、最初一体型電子ピアノを弾いてみた時、他に比べかなりチープな音に感じたので、一旦候補から外していたのだが、スタイリッシュピアノの方の音は意外と悪くなかった。ちゃんとライン出力端子も付いている。それでも、最後までためらった理由の1つは、この機種が全機種の中で最もスリムで、譜面を書くための台として全く使えないこと。もちろん、譜面台はつくが、それは譜面を見るための台であって、譜面を書くための台にはならない。さらに、固定スタンドにオプションで取り付けられるペダルユニットが、これまたえらくちゃちな作りで、ペダル自体はぎしぎし言うようなプラスチック製で、フレームもガタガタしていたのも気になった。結局、このペダルユニットは付けずに、当面は付属のペダルスイッチを使い、将来的にも、単体のダンパーペダルを導入すればいいやということで妥協。譜面を書くスペースについては、部屋のレイアウト全体の中で考えようかと。
 月曜の時点では、以上のようにかなり妥協点の多い買い物だったので、モヤモヤすっきりしない上に、応対していた店員が一番私とは相性の悪いタイプのピントのずれ方をするかたで(支払い時にもいろいろトラブってくれて)、せっかく面白かった映画の印象が全部飛んでしまうぐらいイライラした状態で帰宅し、水曜の朝に納品された後も、部屋のレイアウトをどう改造して設置すればいいかがなかなかうまく決まらずに、イライラがさらに募っていたのだが、先程とりあえず固定スタンドを組み立てて、仮設置し、実際に弾いてみて、ようやく心の平安が得られた。とにかく「88鍵はイイ!」のである。パソコンに向かって曲を作る際に手元に置いているキーボードコントローラーは4オクターブ49鍵しかなく、ちょっとしたピアノ伴奏のパターンを考えるだけでも、すぐ左手の音域が足りなくなってオクターブの切り替えが必要なのだが、88鍵をいっぺんに見渡せると、必要な音域は全てカバーされるので、一気に視界が開けた気分である。それに加えて、このピアノタッチの手ごたえのある鍵盤。とりあえず、買ってよかった!

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「パプリカ」

 先週土曜日から公開されている映画「パプリカ」を、月曜日に観に行って来た。都内では2箇所で公開されているのだが、どちらも映画館自体がかなり古そうだったので、わざわざ川崎のチネチッタまで足を伸ばす。Yahoo映画の映画館評で、あまりに評判に差があったので。最近のシネコンの絶対的にいい点は、間違っても「前の人の頭で見えない」なんてことがないところ。逆に、後ろの人に気を使って、気がついたら身体が沈み込んでて腰を痛めてるなんてこともない。月曜の初回上映という、まともな社会人なら絶対に行けない回で観たので、「初日は立ち見が出る大盛況」というネットニュースが信じられないぐらいのゆったりとした感じの客の入りで、ゆっくり鑑賞。
 筒井康隆の原作は、実験的な表現や、夢と現実の狭間で深層心理を描いているが故のかなり刺激的な内容を含む、濃い長編小説なので、映像作品にするにあたってはストーリーとしては相当ざっくり削ったり変更したりもしているが、そのかわり、アニメ映画でしかできない「悪夢の映像化」という部分で作り込んでおり、もう一つの「パプリカ」としてそれなりに完成度の高いものとなっている。今までだれも見たことのない物を見せるというのが映像クリエーターの使命であるとするならば、少なくともその使命は十分果たしている。ただ、誇大妄想狂の夢の中のイメージの大行軍が、わりと映画の中の早い時間帯から出現して、その後終盤までその行軍が続いてしまうことによって、他のディテイルの秀逸さがかき消されてしまい、全体として一本調子な印象が残ってしまったのは残念。
 小説の内容からはかなり削っているとはいえ、相当に詰め込んである部分もあり、原作とはずいぶん違う分、原作を読んだ人でも繰り返し見ることにより新しい発見はあるだろう。後でもう1回DVDででも観てみたい気がする。
 それにしても。映画ではかなり薄められているとはいえ、深層心理に潜むインモラルな部分を解放しているようなところがあるこの作品に、小学生低学年ぐらいの子供を連れて観に来ている親がいたのだが、あれはどうなんだろう。恐らく親としては、筒井康隆もよく知らず、あの行進のイメージから「千と千尋」みたいな物を想像してしまったのではなかろうか。ううむ。

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最終節決着

 さっきジムで、ランニングマシンを使おうとしたら、ちょうどFC東京−レッズ戦の中継をやっているディスプレイの前のマシンが空いた。試合はちょうど後半10分すぎ。いつもランニングマシンでは30分走って5分クールダウンなので、ロスタイムを含め残り35分でピッタリ。念のためいつもより5分長い設定にして、自分も走りながら、この大一番を観戦。(音声はヘッドホンで聞くシステム。)
 本当は、大一番はこの1戦だけではなく、ガンバ−京都戦と合わせてその結果次第でレッズの優勝が決まってしまうという試合である。なぜこの両試合がこんなに気になるかというと、ガンバの遠藤が最終節のレッズとの直接対決での復帰を目指してリハビリ中ということなので、なんとか優勝の可能性を残して最終節を迎えて欲しいのである。ガンバは、他にも幡戸が最終節復帰を目指している。
 そのガンバが優勝の可能性を残すには、ガンバは勝つしかなく、その場合レッズが引き分け以下なら最終節までもつれる。(ただし、レッズ引き分けなら、最終節でガンバが優勝するには3点差以上の勝利が必要となるが。)当然中継でも随時万博での試合状況を伝えている。見始めた時点で、レッズは0−0の引き分けで、ガンバはちょうど2−1と勝ち越したばかり。
 メインで中継されているレッズの試合は、結局スコアレスドローだったのだが、合間に伝えられる万博からの情報で、思わず(走りながら)2回声を上げてしまった。1回目は、京都の同点ゴールが伝えられた時。かなり後半も押し迫っていた時なので、これでガンバの今シーズンは終わりかという落胆の「あ〜」。その後、味スタの試合が先に終わり、中継がロスタイム中の万博に切り替わったとたんに、ガンバのチャンス。リプレイを流しているのかと思うようなタイミングで家長からの絶妙なセンタリングにマグノアウベスが頭で合わせて、ロスタイムでの勝ち越し弾。しかもこれでマグノアウベスはハットトリック。思わず「お〜」で2回目。(周りから見ると、何一人で盛り上がってるんだというちょっと恥ずかしい光景...)
 これで、万博での試合の劇的な結果だけでなく、シーズンの流れとしても、最終節の直接対決で優勝が決まるという出来すぎのシナリオが完成。実はレッズサポーターにしても、ホーム浦和で優勝を決めたいという思いはどこかにあったはずなので、3点差以上で負けなければ優勝というリスクの少ない状態で最終戦まで引っ張ったというのは、決して悪くない結果であろう。(もちろん、ほとんど決まりかけていた今日の優勝を逃したレッズの選手たちにとってはそうも言ってられないだろうが。) 12/2に遠藤が間に合うかどうかはわからないが、ここまできたら、ガンバに奇跡を起こして欲しいものだ。3点差以上で勝たなければならないと言っても、日本がブラジルに挑むのとは訳が違うので、可能性はある。(ただし、問題はレッズが今シーズン負けなしのホーム浦和での試合だということ。) Jリーグの盛り上がりという意味では、Jスタート当初のお荷物チームで、J2降格も経験したレッズの初優勝というシナリオももちろんアリなのだろうが、自分としては当面ガンバを応援することに決めたので。
 ちなみに、この万博の試合で、京都のJ2降格が決定。それと同時に、J2の横浜FCがJ1昇格を決めている。この横浜FCにも、横浜フリューゲルス消滅以来の長いドラマがある。そして、昇格を置き土産にして引退する城と、もし来期もやるならばチームと一緒に再びJ1のピッチに戻ってくるカズ。今期のJリーグのドラマはかなり濃厚である。

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俊輔vsファン・デル・サール

 いつも、日本代表戦のことばかりギャーギャー書いているが、やはりこれは無視するわけにはいくまい。中村俊輔のFKで、セルティックがあのマンチェスター・ユナイテッドを破って、UEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント進出。
 某所で映像見たけど、凄いね。マンUのGKのファン・デル・サールにとってみれば、2戦連続スーパーFKを右隅に決められ、トラウマとなったことだろう。前の試合は、それでもシーソーゲームを制して3−2でマンUが勝ったけど、今回は終了直前のこの1点が決勝点で1−0。次節もしマンUもセルティックも負けた場合、直接対決の結果でセルティックが上回るということは、負けた前節のアウェーゴール1点も非常に大きな意味があることになる。マンUにとっては悪夢の2ゴール。
 試合は、中村交代後のロスタイム直前にマンUのPKをセルティックGKボルツが止めるというしびれる展開だったらしい。ルーニーもC・ロナウドも不発の中、飛び道具一発で決めた俊輔。このコンディションを、6月になぜ...とはもう言うまい。俊輔にとってセルティックがちょうど身の丈に合ったチームなのだろう。いいチームに巡り合えてよかったな。

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ベルギー王立美術館展

 オフの最後は、やっぱり芸術の秋ということで、久々に美術展に行こうと上野へ。ダリは数年前にも「ダリ展」としてやってたのに行ったので、今回は国立西洋美術館の「ベルギー王立美術館展」へ。
 聖書や神話の逸話に題材を取った作品や、妙に教訓めいた作品、ひたすら写実的な作品とかは、正直言ってあまり面白くなかった。それぞれの作品の時代背景や技法の推移などをちゃんと理解して鑑賞すれば楽しめるのだろうが、ベルギーの美術史全体から幅広く集められた展示なので、全体として説明不足で、音声ガイドも借りなかった(←これはあまり好きではないのだ)ので、ピンとこないまま終わってしまったのは残念。途中、展示フロアのイスに置かれた今回の展示の図録で、今まで眺めた作品をもう一度解説付きで見たら、そっちの方が面白くて、しばらく休憩がてら図録を読んでいたのだが、それはなんだか本末転倒な気も...。
 そういう中でも、一番印象に残ったのは、ルネ・マグリットの「光の帝国」。年代が近い方が自然に受け入れられるのは当然かも知れないが。構図のアイディアも明確だし。あと、フェルナン・クノップフの「シューマンを聴きながら」も、妙に記憶に残っている。(勝手に「頭痛にバファリン」というサブタイトルを付けたのは内緒。)
 朝から歩き回っているので、結構足が棒になりながらも、常設展まで一通り鑑賞。帰り際には、国立で買えなかったたい焼きの代わりにベルギー王室御用達のお菓子を購入。(なんか違う?)

 これで、ひとり上手な3日間のオフは終了。一番の収穫は...昼間起きている生活にとりあえず戻れたこと。(それかい!) 問題はこれをいつまで維持できるかだな。

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さらば三角屋根

061116_09 奥多摩湖からのバスはそんなに頻繁にはないので、11時前の便であっさり退散。帰りに、久々に2年前まで住んでいた国立で下車。たぶん、本当に引っ越しの時以来。駅の構内の様子がずいぶん変わったなあと思い、南口に出ると、「三角屋根の国立駅舎は、10月10日から解体されます」という大きな看板にびっくり。
061116_10 これが、今の解体中の駅舎の様子。
061116_11 以前はこんな感じ。これが国立のシンボルだったからなあ、善くも悪くも。例の景観条例のシンボルでもあったはずだけど。あのマンション訴訟は結局どう落ち着いたんだっけ。(たしか、建物一部撤去という無茶な一審判決は覆されたはず。) 駅を見ると、明らかに北口のマンション林立の方が景観に影響しているが、景観条例は駅から学園通り方面を眺めた時のピンポイントの景観だけを対象にしてるんだっけ?いずれにせよ、人口があふれているこの狭い東京で、この地域の景観だけをこの地域住民の主張だけで守るなんてのは所詮無理。ある地域を景観保護の対象とするという判断は、当然それよりも大きな枠組み(国立市であれば、少なくとも東京都)の中で議論されないとおかしいのだが、議論の中でそういう視点がどこにも見当たらなかったのが不思議。
061116_12 この日ここに来た目的は、本当は学園通りの銀杏並木だったのだけど、まだそんなに色づいてなかった。並木がまっ黄色に染まっている時期は本当に見事。春の桜、秋の銀杏、冬のクリスマスイルミネーションと、この並木道を見に来るだけでも価値があるのはたしか。
 大戸屋で昼食後、久々にたい焼きが食いたくなって、本屋の横にあったおはぎとたい焼きが売りだった小倉あん専門店に行ってみたら、どらやき専門店に変わっていた。なんかショック。(って、駅舎よりもこっちかい!)

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紅葉はまだ薄化粧

 16日は、Yahooの紅葉情報の「見ごろ」を信じて、奥多摩湖へ。朝7:00に家を出て、電車5本とバスを乗り継いで、10時過ぎには到着。天気は良くて気持ちいいけど、紅葉はまだまだ全体として薄化粧。点々と存在する紅く染まったスポット目指して、斜面の遊歩道に入っていき、しばらく散策。
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「日本以外全部沈没」

 この日最後は、渋谷シネセゾンのレイトショウでこの作品。あの筒井康隆の迷作短編のまさかの映画化である。言うまでもなく「日本沈没」のパロディであり、内容はタイトルそのまんまである。原作もどぎついブラックユーモアにあふれた作品なのだが、なんせ30年以上前の作品であり、しかも10ページ程度の短編なので、ネタは今の国際情勢を踏まえて全面的にリニューアルの上、映画用に膨らませてある。
 正直言うと、文学におけるこういう過激にブラックな作品を、そのまま映像化したからいいかというと、必ずしもそういうものではないと思う。さらに、ネット社会になって、一般市民が匿名で悪意に満ちた言論を節度なくばらまくこの時代に、「表現のプロ」が提供する文学や映像作品における「ブラックな表現」というものの役割は一旦リセットされてしかるべきだとも考える。なので、今回の映画化には、「あの作品を本当に映画化してしまった」という意味以上のものは特に期待していなかったのだが...筒井ファンにとってはその「本当に映画化してしまった」という部分のインパクトが大きいのである。
 それに、どんなことでもまずは笑い飛ばしてしまうことの力というものをまだ信じていたいという思いも一応ある。でも、すぐ横の席で見ていた(私と同世代か少し上ぐらいの)オヤジが、最近の東アジア情勢にからんだネタばかりにやたら過剰に反応して笑っているのを見たりすると、それは何かがずれてしまっているのでないかという気もする。
 ちなみに、私自身は、最後まで含み笑いやら忍び笑いをしながら楽しく鑑賞。ところどころ苦笑い。
 いずれにせよ、善くも悪くも、一昔前のアングラのにおいのする作品である。なんせ、観に来ている客がみんな怪しい(爆)。よく考えたら、この日観た3作品は、どの2つをとっても客層がほとんど重ならないのではないかという気がする。少なくとも、この3本を同じ日に観た者は、他にだれもいないだろう。
 そういえば、各国の元首が集まる店で、「パーティーで主役を取る!」に出演してたプリマベーラがイリュージョンを披露してたなあ。こんなところでお目にかかれるとは。

 筒井作品の映画化といえば、この夏公開されたアニメ版「時をかける少女」はやたら評判がよかったが、あれは初期のジュブナイルSFで、文学としての筒井作品の中では決して重要な位置づけのものではないので、なんとも微妙な感じである。筒井作品ということとは関係なく後でDVDででも観てみたいけど。同じアニメでも、もうすぐ公開される「パプリカ」は、まさしく近年の筒井ワールド。これは忘れずに観に行かねば。パプリカ役が林原めぐみ。うーむ、なるほど。

061115_2 1日に映画を3本もハシゴしたのなんて、いつ以来だろう。(もしかしたら、初めてか。)レイトショウが終わり、渋谷駅に向かう途中、ふと見上げると、東急のビルの壁に人がぶらさがって、おそらくはクリスマス向けの装飾の準備作業をやっていた。もうそんな季節か...。

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「いちばんきれいな水」

 前からちょっと気になっていた作品なので、この機会に豊洲まで足をのばしてみた。
 ある病気で精神年齢8歳のまま11年間眠り続ける姉が突然3日間だけ目を覚ましたという設定の、ちょっと不思議な一期一会の物語。幼少のころは一緒に過ごしたのだし、寝顔は毎日見ているのだから、一期一会というのとはちょっと違うかもしれないが、やはりその言葉が一番ぴったりくる。もちろん、そこには(男にはなかなかわかりにくい)「姉妹」という関係性もあるのだろうけど。加藤ローサと菅野莉央というキャスティングは大成功。精神年齢8歳の19歳という役を、イヤミなく(演技でもなく(笑))演じられる加藤ローサと、天才子役の菅野莉央。まさにこれしかない組合せである。
 せわしない日々の中で、ふっと時間が空いた時にでも見たい、あったかくかわいらしい映画である。(といっても、東京での公開は、渋谷シネクイントのレイトショウを除き、今日で最後なのだが。)
 しかし、去年の夏に撮影した、夏休みの物語の映画なのに、今年の10月に公開というのはちょっと不思議。たしかに、夏休み映画の大作の山の中に埋もれさせるのは得策ではなかったのかもしれないが、中高生層の入りはどうだったのだろう。ちなみに、この日は当然のことながら若い主婦層中心。

 ユナイテッド・シネマ豊洲のみ併映のスピンアウトストーリー「夏美のなつ」は...三井不動産による「ららぽーと豊洲」(このユナイテッド・シネマ豊洲も入っている)を中心とした再開発地域のプロモーションフィルム。いや、別にそれを上映するのは構わないのだけど、本編上映後やたら長いインターバルをとって、その間無音のまま照明はついた状態で待機させられたので、客席を流れる声も立ててはいけないようなビミョーな緊張感がなんとも言えず(苦笑)。

 その「ららぽーと豊洲」だが、10月5日にオープンしたばかりらしい。最近よくある非常に近代的な作りの大型ショッピングモールである。週末はともかく、平日の昼間はまさに主婦と子供と老夫婦のためのワンダーランド。土日の関係ない私としては、安くてそこそこうまいランチの選択肢も豊富で、映画館もありという、この手の商業施設がそばにある暮らしというのは結構うらやましい。ただし、食事中子供の泣き声は我慢しないといけないが。
061115_1 上映前にちょっと時間があったので場内をうろうろしてたら、最近話題の「キッザニア東京」を発見。なるほど、これがあるのがここだったのか。その後、サンマルクカフェで元祖チョコクロを初めて食う。上映後には「餃子の福包」で、焼き餃子と坦々豆腐と高菜ひき肉飯で腹ごしらえ。どれもうまかったのだが、店員の致命的なミスにより、非常に残念な印象に。いつも思うことだが、ミスを1つするのは仕方ない。でも、そのフォローを失敗してさらにミスの上塗りをするのは、客は許さない。(...でも、やっぱり料理自体は安くてうまいので、もう一度食いに行きたいと思っていたり。どう考えてもビールを頼みたいメニューで、夜の部があるので我慢してしまったのが、なんとも心残りなのである。)

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「父親たちの星条旗」

 戦争映画というものを一度はちゃんと観ておこうということで、本作品を選択。戦時キャンペーンの茶番と実際の戦場の悲惨さを対比して描いている。内容についてはここで今更語るまでもないが、日本人から見ると、ネイティブアメリカンの彼を除き、兵士達の顔の区別がつかず、人物関係が正確に把握できないまま終わってしまったのは残念。(同じことを「虎ノ門」で蛭子能収も言ってた。) それと、日本側からの視点で描いた第2弾は、予告編を見た限りでは、あんまり観たいとは思わなかったのはなぜだろう。
 音楽担当は、クリント・イーストウッド自身。実際にどのレベルのアレンジまで本人がやっているのかはわからないけど。簡単なゆったりした旋律を、変奏曲のようにして全編通して使っている。その音楽で、「あれ?」と思ったことが2回あった。1回目は、山の頂上に最初の国旗を立てるシーン。そこで、作戦成功のカタルシスを表すような感じの曲が流れるのである。それがこの映画のトーンから考えて「あれ?」だったのだが、その後、お偉方がその旗を記念に欲しいと言ったために旗を立て替えて2本目の旗を立てる茶番劇のシーンで、実は再び同じ曲が流れたのである。つまり、ここではその茶番劇を強調するために、あえてこの一見ポジティブな曲が使われたのである。その意図は一応わかったのだけど、このシーン以外では音楽はあくまでも背景として用いられていて、ここでのみ唐突にパロディ的な意味合いを持って自己主張しているのが、非常にバランス悪く感じ、違和感を覚えた。それが2回目の「あれ?」。
 凝った演出で、逆に非常に効果的だと思ったのは、軍の資金集めのキャンペーンの式典での花火と、戦場の砲火をダブらせて見せているところ。それが、セレモニーのしらじらしさと、兵士が実際に経験した戦場の凄惨さの両方を見事に印象づけている。
 ちなみに、見たのは上野のちょっと古い映画館。「戦争映画」「上野」「平日午前」ということで、観客の90%が年輩の方々。

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映画3連発

今日の映画三昧。

「父親たちの星条旗」上野東急 10:45〜
「いちばんきれいな水」ユナイテッドシネマ豊洲 17:15〜
「日本以外全部沈没」シネセゾン渋谷 21:20〜

無茶苦茶なラインナップですな。
最後ので全部台無し(爆)。
でも、この3本を見るなら、この順番しかないかも。

どれもそれぞれに見甲斐はありました。詳しくは後日。
途中、ちゃんと髪も切りに行けたし、充実した一日。

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トンネル脱出?

 久々に長いトンネルだった...。今月頭に脱出するはずが、もう半月経っちまったい。仕事の原稿ようやく提出。
 やることは山ほどあるが、せっかく天気もよさげだし、よし、決めた。3日ほどあっちの仕事もこっちの仕事も一切休もう。
 日付変わって今日はジム・買い物・大掃除・部屋の模様替え(ある意味全部仕事だが...)。明日は美容室に行った後映画三昧。明後日はどこかアウトドア散策。
 そう、世間の会社勤めの人たちには土日祝日があるんだから、自分もちゃんとたまには「休日」を設定しないと、心も身体ももたない。で、そのための最大の難関は...またもや反転している昼夜を今日これから無理やり戻せるかどうか。
 仕事のキリのいい所で書こうと思っていてのびのびになってたメールが1通あるのだけど、長くなりそうなので、明日にしよう。10日以上遅れてるから、あと1日だけ...って、友達無くすなあ。
 1ヶ月近く一滴も飲んでないアルコールの力でも借りて、さっさと寝よ。

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「問題のある問題」の問題

つまらないことなんですが...

 某○○試験の本試験の解説やら、そのための模試の作問監修やらの仕事をやってると、「問題のある問題」とか「この問題はここが問題」とかいうことを言わないといけないことが多く、適切な言い換えができなくてぶちきれそうになります。

 ただでさえ問題のある問題のせいで頭にきているのにその「問題のある問題」という言葉自体問題なので問題点を適切に表現できずにモンモンして問題行動を起こしそうになるのが問題なのです。

 一応、「問題のある出題」というようにローカルに言い換えることができる場合はあるのですが、「出題」という言葉だと、あくまでも「出題する行為」に重きを置いた表現なので、「問題」の言い換えとしていつでも使えるわけではありません。一方、「問題のある」「問題だ」の方の「問題」については、「課題」「不具合」「不都合」とかだと意味が限定的すぎます。一番近いのは「不適切な」「不適切だ」だとは思うのですが、やはりかなりニュアンスは変わってしまいます。

 出題されたものという意味での「問題」について述べている文脈の中で、不適切なポイントという意味での「問題」という言葉をぴったり言い換える、適当な言葉ってないですかねぇ?(いい案があれば教えて下さいマセ。)

 こういう言葉の重複を回避するために、筆が止まってしまうことって、文章書く仕事してると結構多いものです。日本語は難しい。

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職業病

 予備校方面でやってる謎の仕事では、論理的におかしな文章や文脈の破綻した文章にもれなく敏感に反応して、修正することが求められる。そのため、頭がそのモードになっているときは、テレビのアナウンサーのいい加減な発言等にも非常に敏感になってしまう。だれもがさらっと聞き流すようなところに一々気がついてしまうので、イライラが絶えないのである。最近は、そのモードになっていない時でも、誤謬過敏症とでもいうべき状態が慢性化しており、これは完全な職業病である。気にしなければいいと簡単に言われそうだが、気がつかないのではなく、気がついた上で気にしないのは、それはそれでストレスになる。

 とはいえ、サッカーアジアユースの1次リーグの実況をやるのであれば、勝ち点計算ぐらいはしっかり予習して状況を理解しておけと思うのは、さほど過剰反応でもあるまい。

 以下は、日本−イラン戦における、グループCの勝ち点の状況についての、前半と後半での実況アナのコメント。

前半「勝たなければ決勝トーナメントへの道が断たれるイランも背水の陣。この試合に全てを賭けています。一方の日本は、この試合に勝つか引き分け、あるいは、負けたとしても4点差以内なら、決勝トーナメントへの進出が可能ではあるのですが、しかし、負けるようなことがあると一転、日本・イラン・北朝鮮が勝ち点6で並ぶという最悪の状況も考えられ、できれば勝つか引き分けてすんなり決めておきたいところですよね。」

後半「日本は、この試合非常に有利な状況で迎えました。この試合に勝つか引き分け、あるいは負けても大量失点を食わなければ、決勝トーナメント進出が決まります。ただ逆に負けるようなことがあると、イラン・北朝鮮と勝ち点6で並んで、ともすると2勝しながらもグループリーグ敗退という危機らある、まあ、全く予断を許さない状況と言えます。逆にイランにとっては、この試合に勝たなければ決勝トーナメント進出の道が断たれるという背水の陣です。」

 きっと、用意されている原稿を,語順等を適当に入れ替えながら読んでいるだけなのだろうが、文脈が完全に破綻している。日本の状況については、おそらく嘘にはならないギリギリの線で、まだ消化試合ではないということを強調するような原稿を用意したのだろう。でも、前半のコメントのような言い方では「可能である」という表現が「もう1試合の結果次第で可能である」という意味にも取られかねない。もちろん実際は「4点差以内なら確実に決勝トーナメントが決まる」という状況である。後半のコメントにしても、「大量失点を食わなければ決勝トーナメント進出が決まる」と自分で言ったそばから、「全く予断を許さない状況」って、それはいくらなんでも適当すぎるだろう。
 でも、これはまだ恐らくは「一応は理解しているけどうまく伝えられていない」ないし「実況を盛り上げるためにわざと誤解を招くような表現にしている」ということなのだろうが、イランの状況については、明らかに正しく理解していない。背水の陣なのは確かだが、イランは勝たなくても日本と引き分けて北朝鮮がタジキスタンに負ければ決勝トーナメントに行ける状況。もっと言えば、仮に日本に1点差で負けたとしても、北朝鮮が7点差で負ければ可能性は残るが、さすがにそれは望み薄なので、「負ければ決勝トーナメント進出の道が断たれる」という言い方であれば許容範囲内かもしれない。でも「勝たなければ」は完全に勇み足。それを、実況中何度も「勝たなければ決勝トーナメントへの道が断たれるイラン」と繰り返すので、その度にイラっとさせられるのである。

 もっとひどいのはこれ。
「日本・イラン・北朝鮮の3カ国に、まだ決勝トーナメント進出の可能性が残されています。」
 どうみても、その時点ではまだタジキスタンにも決勝トーナメント進出の可能性は残っていた。そのためには、日本がイランに勝って、タジキスタンが5点差以上で北朝鮮に勝つ必要があるのだが、それでも可能性はゼロじゃない。そもそも日本が決勝トーナメントに進めない条件だって、タジキスタンが北朝鮮に負けて、日本がイランに5点差以上で負けるというものだから、似たり寄ったりである。確か、前回の日本−タジキスタン戦で日本が勝った直後にも、「これでタジキスタンだけは決勝トーナメント進出の可能性は消えました」というような発言があったのだが、その件について次の試合を迎えるまでの間に誤りが修正されていないというのは、ちょっとマズイのではないかと思う。

 まあ、こんな自分にとってなんの利害もない間違いにイライラするのはやはり職業病。くだんの予備校の仕事から足を洗えるのは、いつのことやら。(っていうか、その仕事の合間に何書いてるんだ、オレ。)

 ちなみに、試合の結果は、日本は1−2でイランに負けたものの、グループリーグ1位通過。1点差とはいえ、試合内容は本当に5点差で負けてもおかしくないぐらいのドタバタ劇。イランはこんなに強いのに、なんで北朝鮮に0−5で負けちまったのだろう。これで予選敗退は納得いかないだろうな。

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