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「パプリカ」

 先週土曜日から公開されている映画「パプリカ」を、月曜日に観に行って来た。都内では2箇所で公開されているのだが、どちらも映画館自体がかなり古そうだったので、わざわざ川崎のチネチッタまで足を伸ばす。Yahoo映画の映画館評で、あまりに評判に差があったので。最近のシネコンの絶対的にいい点は、間違っても「前の人の頭で見えない」なんてことがないところ。逆に、後ろの人に気を使って、気がついたら身体が沈み込んでて腰を痛めてるなんてこともない。月曜の初回上映という、まともな社会人なら絶対に行けない回で観たので、「初日は立ち見が出る大盛況」というネットニュースが信じられないぐらいのゆったりとした感じの客の入りで、ゆっくり鑑賞。
 筒井康隆の原作は、実験的な表現や、夢と現実の狭間で深層心理を描いているが故のかなり刺激的な内容を含む、濃い長編小説なので、映像作品にするにあたってはストーリーとしては相当ざっくり削ったり変更したりもしているが、そのかわり、アニメ映画でしかできない「悪夢の映像化」という部分で作り込んでおり、もう一つの「パプリカ」としてそれなりに完成度の高いものとなっている。今までだれも見たことのない物を見せるというのが映像クリエーターの使命であるとするならば、少なくともその使命は十分果たしている。ただ、誇大妄想狂の夢の中のイメージの大行軍が、わりと映画の中の早い時間帯から出現して、その後終盤までその行軍が続いてしまうことによって、他のディテイルの秀逸さがかき消されてしまい、全体として一本調子な印象が残ってしまったのは残念。
 小説の内容からはかなり削っているとはいえ、相当に詰め込んである部分もあり、原作とはずいぶん違う分、原作を読んだ人でも繰り返し見ることにより新しい発見はあるだろう。後でもう1回DVDででも観てみたい気がする。
 それにしても。映画ではかなり薄められているとはいえ、深層心理に潜むインモラルな部分を解放しているようなところがあるこの作品に、小学生低学年ぐらいの子供を連れて観に来ている親がいたのだが、あれはどうなんだろう。恐らく親としては、筒井康隆もよく知らず、あの行進のイメージから「千と千尋」みたいな物を想像してしまったのではなかろうか。ううむ。

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