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「街の雫」

 偶然、"Trickles"という単語を見かけて、後藤次利のアルバム「CITY TRICKLES:街の雫」を思い出した。大学時代にレンタルレコードから録音したカセットを持っていたのだが、ずっとCDでの発売を心待ちにしていた名盤である。ネットで検索してみると、なんと!当時のレーベルの作品を集めた3枚組CD「Fitzbeat Years 1983-1985」として去年の11月に発売されていた! もちろん、即Amazonで購入し、それがさっき届いたところ。

 このアルバムを通して聴いたのは何年ぶりだろう。ベーシストのソロアルバムでありながら、当時の最新の電子楽器を便利な道具としてではなく音を作り込むための武器として駆使し、前衛的だけどポップで、計算された熱気が伝わってくるこの作品は、今でも全く色あせない。昔の名盤の再発とかだと、音質がひどくてがっかりすることもあるが、そんなことも全くなく、音楽がまだ希望に満ちたものであったあの頃の空気がそのまま蘇ってくる。

 このアルバムは、当時12インチ45回転のミニアルバムの2枚組という特殊な形態で発売され、1枚目はインスト、2枚目は主にボーカル入りである。エッジの効いた作品は1枚目に多いが、当時バックコーラスのスペシャリストとしてシーンを支えていた山川恵津子のボーカルをフィーチャーした2枚目は名曲が目白押しである。本人も気に入っていて一般にも評価が高いのはラストナンバー「THE NIGHT LANDING:誘導灯」だが、私が好きなのは、山川恵津子のWhisper Voiceが一番印象的な、2枚目の1曲目(今回のCDでは7曲目)の「FIRST SOLITUDE:すれ違った孤独」。当時、楽曲を単独で聴くのではなくアルバムを通して聴くことが多かったので、1曲目でその世界にぐっと引き込んでくれる作品が自分にとって大切なものだったのだと思う。

 ちなみに、インスト編の最後「URGENT:追い込まれた色彩」は、つい最近までテレビの夕方の報道番組のBGMで使用されていたので、日本中のかなりの割合の人の耳に残っているはずである。(今はあまりその時間のニュースを見ないので、まだ使われているかどうかは不明。) あと、1曲目「THE BREAKING POINT:終わりのない加速」は当時タイヤのCMで使われており、これも非常に印象的。

 久々の自分へのご褒美として、悪くない買い物。正直音楽に絶望しかけていた自分には、何かいいきっかけになるかもしれない。

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