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ロックシューが許せない

 「食べにくいけどうまい」という評価が多いようだが、正しくは「味だけみればうまいはずなのに、決してまともに食べることはできないのでおいしく味わうことのできない欠陥商品」である。某コンビニで売っているロックシューの話。

 パリパリの大きいチョコ掛けシューの中にたっぷりのトロトロのカスタード+生クリーム、そのスペックだけでも「絶対にうまいはず」なのだ。スイーツ好きは期待に胸をふくらませて購入する。しかし、その甘い期待も、一口かぶりついた瞬間に確実に起こる惨劇によって夢散する。シューの固さとクリームの柔らかさのミスマッチにより、クリームは必ず横方向に噴出するのだ。それも、ちょっとはみ出す程度ではすまない。
 同じ「固い」でも、シュー全体の構造ががっちりしていて、噛んだ後も歯形の部分を除いて元の形を保つような固さなら逆に問題はないのだが、この商品の場合、上部と下部がそれぞれ固い一枚板になっており、側面が弱いので、かぶりつくと、どんなやりかたをしても歯形が入る前に上下の板に挟まれて全体がペシャンコになる。かぶりつくという選択をする以上、惨劇は免れ得ないのだ。
 これをきれいに食べるには、皿に乗せて、縦に応力をかけないよう気をつけながらナイフでシューを切って、そのシューとクリームをフォークないしスプーンに乗せて食べるしかない。(フォークで突き刺そうとしてもいけない。) しかし、この商品のコンセプトは「美味しくて、手軽に」なのだ。お手軽コンビニスイーツのシュークリームが、「袋のままかぶりついてはダメ」などというのは、明らかに商品としてスペックミス。そんなお上品に食べたいと思ってこれを購入する客はほとんどいないだろう。
 でも、それは商品開発の時点で真っ先に判明していたはずだ。それでも販売されたのは、それが「確実に売れる商品」だからである。欠陥商品なのに売れる理由は、その期待感の高さにある。この手の期間限定商品は、コンビニ利用者の中の甘いもの好きが1回ずつでも購入すれば、十分元が取れるはずだ。また、通常であれば、期待感が高く満足感が得られなければリピーターとはならないと思われるが、この商品の場合必ずしもそうではない。それは、期待感はあくまでも「おいしさ」についてのものであり、満足感が得られないのは「食べるのに失敗したから」と認知されるため、「おいしさ」に対する期待感は損なわれないからだ。むしろ、「次は失敗しないように食べよう」ということが動機となりリピーターとなるケースもあるだろう。どうやってもうまく食べられる代物ではないということに気づくまでに、2〜3回は購入してしまう人も多いはずだ。
 かくいう自分も、最初のチョコロックシューと、次に発売されたイチゴ味版を1回ずつ購入してしまい、2回とも辛酸をなめた。甘い物を食べたい時に、この見た目からくる誘惑はそれだけ強烈なのだ。だからこそ、売れればそれでいいというツメの甘い不誠実な商品開発をなおさら腹立たしく思うのである。別にPL法を振りかざすつもりはない。ただ、スイーツといえば基本はもてなしの心だろう。確実に食べるのに失敗するようなものを商品として世に出すことは、商品開発に関わった心あるパティシエがいたなら必ず反対したはずだ。(ちなみに、イチゴ味ではない最初のものは「的場浩司プロデュース」と銘打たれていたが、彼がこの商品の不具合についてどう考えているか、聞いてみたいものである。)

 まあ、「食い物の恨み」でもあるのだけど(苦笑)、これに限らず、今の世の中、謳い文句となるアイディアだけを重視しその商品本来の絶対外してはならないポイントを確実に外しているインチキ商品があまりにも横行している気がする。

(ところで、なんで今これを書こうと思ったんだったっけ?うぅ、思い出せない...)

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